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楽しい。久しぶりに

大手の小説投稿サイトに登録して、1週間。
今夢中になってるのは、自分の小説に挿絵を入れること。
そこの投稿サイト、挿絵がいれられる画期的なもの!
元々は漫画用に書いた小説だから、絵もある。
ならば、挿絵は必要不可欠。

ちなみに、Ⅰ話目の挿絵↓


名称未設定-1

漫画はネームが必要で、これが大変なんだけど。
小説の挿絵は美味しいとこどりで。。。
美味しすぎて、くせになりそう(;´∀`)
年内に、公開してる12話のうち挿絵がない7話分の挿絵が描けるといいな~って思う。

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こんな感じ。

小説のタイトルページ。
サクッとこんな感じかな?って。

平凡OL王女は常ならむ_edited-1

思った。
小説って・・・早い。
私は物語を考えるのが好きで、色んなストーリーをストックしているけど。
それを漫画にしようって思ったら、1本描くのに1年以上かけてしまう。
ところが、8万字程度の小説だと、たったひと月で書けてしまうのだ・・・ってことに、気がついた。
絵も好きなんだけど、基本はお話が好き・・・いや、お話じゃなくて、お話に登場する人物が大好き。
今度の話も主人公もさることながら、脇キャラも大好きなのだ。
なので来年も小説にのめり込むだろうと予言する。

おためし3

タイトル、決まった。

タイトル: 「平凡OL王女は常ならむ」 


 その日は朝から小雨が降っていた。寒くはない、というか、この世界に四季があるのか、わからないけど。
 険しい気分になってるのは天気のせいじゃない。午後から予定している会議の間での大臣たちとの話し合いを思ってだ。
 素直に大臣たちが私の話を聞くはずがない。そう思いながら、私はテーブルの上にある書類を見る。
 大臣たちに提出させた、物品の購入や支払いの明細など財務に関する報告書だ。
 大臣たちを打ち負かす。でなければ、この国は遠からず崩壊する。
 例え生まれ育った世界じゃなくても、人の苦しむ顔なんて私は見たくない。
 
 時間より少し遅れて、私は会議の間の扉を開けた。
 すでに4人の大臣たちは席についていて、私の入室で立ちあがった。部屋の中はすでに戦闘体制の険悪なムードで包まれている。
 田所課長似のニーサルの「小娘が気まぐれに俺様を呼び立てやがって」という心の声が聞こえてくる。
 キリウスは憮然と、叔父のナビスは不安げに私を見ている。
 アランフェットは・・・肉に埋もれた顔の表情はよく分からないが、たぶん、彼が今思っているのは「会議にはお菓子が出るのか?」くらいだろう。
 咳払いをして、私は皆に席につくように促した。
 私の横には書記の役人が二人、後ろには石像のようにサラさんが立って控えていた。
 私は会議開始の簡単な挨拶をすませると、いきなりぶちかました。
「今の税を2年前に戻します。それと、大臣以下、各役職にある役人の報酬を1割削減します」
 税金の引き下げと国会議員の報酬削減、日本の国民の多くが望んでいるのに、国会議員たちが絶対やらないことだ。
「お、王女、それは、無謀というものです。我々の同意も得ずに、なんと恐ろしいことを」口火をきったのは金の亡者、ニーサルだ。
 当然、大臣たちの抵抗は想定済み。
 私は自分の手元にある書類に目を向けた。
「では、ニーサル公爵におうかがいします」つとめて事務的な口調で言った。「私に提出されたニーサル様の報告書によると、3倍の税が必要になった理由として、町村の大規模な治水工事、橋の建設などが挙げられていますが」
謁見の間で、町長たちに聞いた話だと、2年間、どこにも治水工事や橋建設工事など行われていないということだった。
「確認したところ、そのような工事は行われていない、ということですが?」
「そ、それは・・・なにかの間違い、いや、王女様の、勘違い・・・いや、工事には色々と複雑な事情が・・・」ニーサルは青白い顔をさらに青くしながら苦し気に弁明する。
「私の勘違い?思い違いということでしょうか?では、正しい調査が必要ということですね」
 要職にある人間が架空工事をでっちあげて予算を出させ、着服するなんて、よくあることだ。監査役の国王がいなきゃ、やりたい放題だ。
「王女には分からない事情ってものがあるのですよ!」ニーサルが苦し紛れに、やけくそのように言い放つ。
 だから、黙っていろ、と言うのか。大臣同士ならそれで通用させてきたのだろう。
「その事情とやらを詳しく調べる、と言っているのです。それとも、調べられたら都合の悪いことがあるとでも?」
 私は営業マンに『この領収書、私用じゃないですか。こんなの経費ではおとせません』と冷酷に告げる経理事務員の口調で言った。
 ニーサルは「いや、しかし、でも」などと酸欠状態ようにあえぐだけでまともな言葉が出ない。 
「姫の手を煩わせることもない。その件は私が調査して、早急に対処しましょう」キリウスが冷たい青い目で、隣でうなだれているニーサルを一瞥して言った。
 この男は、私を襲ったくせに・・・とか、憤懣やるかたない内心を隠して、「では、キリウス公爵にお任せしましょう」
 熊のシッポを掴むまでは、信用したふりもせざるを得ない。
「それと、キリウス様は」私はキッとキリウスを見据えて言った。
「武器の購入費が多すぎます。どこぞと戦争でも始めるおつもりですか」
 大砲ひとつでも、人ひとりが一生食べていけるだけの値段だった。やたらと多い軍備費など今の平和なローマリウスには必要ない。
 キリウスが特に何か不正しているわけではなかったが、高額な武器などコレクション感覚で買われては困るのだ。
 キリウスは降参とばかりに手をあげて苦笑した。
「今後、控えることをお約束します」
「そ、そうですか。ではお願いします」もっと抵抗があるかと、ファイティングポーズで身構えていた私はちょっと気が抜けた。
 叔父、ナビスの報告書にはさほど問題点はなかったので、スルー。
 それから。
「アランフェット様」名前を呼ばれて、肉の塊のようなアランフェットの巨体がぶるりと震えた。
「この2年の間に、国外からの高級食材の輸入が倍以上になっているのはどうしてでしょう。しかも、納入先のこの住所は」アランフェットの親族の館だった。立派な食糧の横領だ。
 アランフェットは顔が溶けるのではないかと思うほどの汗をかきながら、国会議員の奥義の一つ『たぬき寝入り』で答弁を免れようとしている。
 ま、いいか。横領を追及することが今の目的ではない。
 今は、
「大臣がたの今の支出が不当なものとして、私のほうで無駄だと思われるものを仕分けした結果、3倍の税は必要ないと思われます。なお、役員報酬の1割削減は削減部分を『能力手当』として、功績のある者、勤勉な者に支払われることとします。要するに今の報酬額を受け取りたいならば」
 私は天上の女神のように慈悲深い、気品にあふれる笑顔で言った。
「『きちんと報酬に見合った仕事をしやがれ』ってことです」

 もう、誰も私に異論を唱えるものはいなかった。というか、みんな魂がどっかに行っちゃったみたいになってた。
 
 その後、兵士と城の衛兵を町村の治安維持活動に派遣することと、城に備蓄した食糧を貧民に配給する案が(私の独壇場で)可決されて、会議の幕を閉じた。

 「私はまだ残って部屋の片づけがありますので」
 どなたかにレーナ様のエスコートを頼みましょう、とサラさんは言った。
 自分の部屋にくらい一人で帰れるのにな、と思いながらも、素直に従うことにした。
「姫のエスコートなら、俺が」とキリウスが言いかけたので、私は慌てて「じゃあ、叔父様にお願いしてもいいかしら」
 大臣の中では1番まともだし。それに、唯一の私の味方だもん。
「私でよければ」とナビスは控えめに答えた。
 キリウスのナビスを見る目が剣呑だったけど、さすがに国王の弟という立場の人間にごり押しはできないみたい。
「それから、レーナ様」別れ際サラさんは私を呼び止めると、右手を胸に当て腰を折る深い礼をした。  
 そんな礼って初めて見る。なにか意味があるのかな、なにか言葉をかけなきゃいけないんだろうか。
 この世界の礼儀作法など、まだよくわからない。
 戸惑う私にナビスが「サラは君を称賛して敬意を表しているんだよ。そういう礼なんだよ」と耳元にささやいてくれた。
 うそ!サラさんに褒められるなんて!
 天変地異の前触れじゃないかしらん、私は嬉しさに顔が火照った。
「あ、ありがとう、サラ」
「レーナ様にしては上出来でございました」 顔を上げたサラさんはいつもの鋼鉄の表情だった。
 なんか、褒められた感じが微妙にしない。
 でも、最初に感じた、私を見下すようなサラさんの冷たい目の光が今はないし。少しは私を評価してくれてるのかな。
 
 私室に戻ると、開口1番。
「すごかったよ、レーナちゃん。あのクワセモノの大臣たちを黙らせるなんて。どこでそんな政治手腕を習ったんだい」ナビスが私に尋ねた。
 まさか、会社の経理経験と小説や漫画の知識からだとは答えられない。
 私は「秘密です」って、答えにもならないことでごまかした。
「まるで、ああなる前の国王・・・兄上を見ているようだったよ」ナビスの声がしんみりとしたものになる。「兄上は立派な国王だったんだ、本当に」
 その声音で、ナビスがお世辞などではなく本気でそう思っているのが私にも伝わった。
 だけど、とナビスは真剣な目になって私を見た。
「レーナちゃんが国王代理になることを、よく思わない者もいるから」
 私の頭にキリウスの顔がさっとよぎった。
「町でも襲われたそうだね」心配そうなナビスの口調に「はい」と私は素直に頷いた。
 ああ、叔父の耳にも届いていたんだ。
「もし・・・よければ」ナビスはおずおずと遠慮がちに「もし私でよければ・・・いっしょに町についていってもいいんだけど・・・若い女の子がこんな陰気な城の中ばかりじゃ息もつまる」
「お願いします!」ナビスの言葉を最後まで聞くことなく、私は飛びついた。
 町に行きたい。自由に買い物とかしたい。それに、町に行ったら、またあの少年と会えるかもしれない。
 私の頭はそれだけでいっぱいになっていた。
 いや・・・けっして、何度も言うけど、私はショタコンってわけではないから。


 叔父で、大臣でもあるナビスがいっしょだということで、渋々、サラさんも町行きを許してくれた。
「叔父上から片時も離れてはいけませんよ」まるで、小学生の娘に注意する母親のような口調でサラさんは言った。
 
町行きの日の朝、私はパンに野菜スープといった、ほどよく質素な朝食をとった。
 あ、そう、食事も改善したのだ。「食べきれないほどの料理は作らない」と。
 料理人たちには城での仕事の他、食べるのにも事欠く貧民の為に、各地の空き家を急きょ改築して造った『お菓子の家』ならぬ『食事の家』で料理を作る仕事もしてもらうことにした。
 おかげでリストラどころか料理人不足になってしまったのだけど。
 とりあえずはダイエットが必要な体になる前に、しなければならないことを済ませたので、一安心なのだ。
 
 で。朝食をすませて、私は麻の長袖Tシャツと、ラクダ色の長ズボンという粗末な男物の服を着た。キャスケットのような帽子に髪を押し込み、顔が隠れるくらい目深にかぶる。
 鏡に映る姿は「町人の男の子」と言えなくもない微妙なコーデだったが。少なくとも「王女」には見えないからヨシとした。
 最後に私は文机の引き出しの中から、少年がくれたミサンガを取り出して左の手首にまいた。
 少年は「また、会えるオマジナイ」って言った。だから、なんとなく、それを着けていたら会えそうな気がした。
 支度がすんだころ、ナビスが迎えに来てくれた。
 大臣の豪華な衣装だとメガネをかけた貧相なネズミに見える叔父だったが、ちょっと小金を持っていそうな町人っぽい服だと全然違和感がない。逆馬子にも衣裳だ。
 昨日までブラック企業並の国務に追われた私だったから、純粋に町で羽を伸ばせるのはうれしかった。

 町は前以上に活気があった。税引き下げと食糧配給の効果があったのか、民人の表情が明るい。
 大道芸人たちも出張っていて、いたるところで音楽と人の笑い声が聞こえる。
 子供連れの親子の姿もちらほらと見える。前は買い物だけだったけど、きょうは楽しい出し物も見物できそう。
 それでも、私は怖い思いをした経験から、周囲に気を配るのを怠らなかった。半分はあの少年を探すためだったけど。
 まだちゃんと助けてもらったお礼も、ミサンガのお礼も言ってなかったし、名前も。そうだ、今度会ったら名前を聞かなきゃ。
「懐かしいな、この感じ・・・」ナビスが通りを見渡しながら、独り言のように言う。それから私のほうを見て
「昔ね、子供のころ1度だけ、兄上と二人で町にきたことがあったんだよ。こっそりね、城を抜け出して。楽しかった、まるで冒険みたいにワクワクした」子供のころの記憶をたどっているかのように、目には温かさが滲んでいる。
「でもね、私がうっかり、石段から落ちてけがをしてしまった。兄上は町にないしょで出たことと、私にけがをさせたことで、ひどく叱られたんだ」ナビスの顔が曇る「本当は私が町に行きたいと、兄上に駄々をこねたからなのに、兄上は何も言わずに私をかばってくれた」
 なんだか、このまま息を止めて消えそうなナビスに、なんと声をかけていいのか分からずに、私はじっとその小さな体を見つめた。
 ナビスは私の視線で我にかえり「ごめんね、つまらない話を聞かせて」無理に笑顔を作った。
 兄、国王があんなことになって、1番辛い思いをしているのは、この人ではないだろうか、なんとなく私はそう思った。 
 ナビスが古書を売ってる露店に足を止めて物色を始めたので、私は隣の装飾品を売ってる露店を覗いた。
 ふと、翡翠のブローチが目についた。月桂樹の葉のような形の銀の土台に翡翠がのっている。上品な輝きをはなつ翡翠はサラさんの緑色の瞳に似合いそうだ。
 お土産に買って帰ろうかな。あの硬質の顔を持つ侍女はサプライズプレゼントに、どんな表情をするだろう。
 翡翠のブローチに手を伸ばそうとしたときに、ふっ、と視線を感じた。
 刺すような視線、とでもいうのだろうか。誰かが私を見ている。
 私は景色でも見るような風を装って振り向いた。
 と、慌てて視線をそらした男がいた。
 あの男、私を見ていた?
 6,7メートル離れた漆喰の壁にもたれるように立っている男。汚れた前開きシャツに茶色いベスト。黒いズボンにブーツ。腰に束ねたロープ携えているのは牛か馬飼いなんだろうか。でも、精悍な横顔や鋭い目つきはとても買い物に来た町人とは思えない。
 剣呑な感じがする。この前のチンピラの仲間だろうか。
 私は古書を手に、考えこんでいるナビスのそばに行くと「叔父様」小声で話しかける。「怪しい人がいる」
 えっ、という顔をしたナビスだったがすぐに真剣な表情になる「どこに」
 私は目だけで男がいる場所を示した。ナビスは男をちらっと見て
「ただの考えすぎかもしれないけど、万が一ってこともある。この先に私の隠家があるんだ。衛兵も控えさせているから、そこまで行こう」
 私は頷いた。
 よくよく町を逃げ回る運命にあるらしい。
 
 ナビスと私は足早に路地を抜け、何度も角を曲がり、人ごみにまぎれて移動した。途中まで男の追ってきている気配がしたけど、まるで縁日のような人出に男は私たちを見失ったようだった。
 周りがなんとなく貧民街のような淋しい場所になったとき「ここだよ」と、やっと古いレンガ造りの家の前でナビスが足を止めた。
 私をかくまうように家に入れると、ナビスはほっと息をついた。
「ここまでくれば大丈夫だよ」
 私を見つめて微笑む叔父の姿が急に頼もしく見え、私はナビスに打ち明けてしまおうと思った。
 ナビスなら、私を助けてくれるのではないか。キリウスのことをすっかり打ち明けてしまってもいいんじゃないか。
「叔父様」と声をかけようとして、私は背後に人の気配を感じて振り返った。
 古い家の隅は暗い。その暗闇に人の気配がする。
 誰かいる?
 あ、そうか。と、私は思い出した。
 そういえば、衛兵が控えてるって言ってたっけ。
 私はナビスのほうに向き直った「叔父様、実はお話が・・・」
 そう言いかけた私の全身を冷たいものが走った。
「叔父様・・・?」
 信じられない思いで私は叔父の顔を見た。
 叔父の、ナビスの顔、私を見るメガネの下の瞳に宿っているのは・・・
 嫌悪?
 憎悪?
 さっきまでの温かさはウソのように消え、眼差しはまるで氷の棘のように私の全身に突き刺さる。
「お、叔父様?」
 
「遅かったじゃないですか」「待ちくたびれましたよ」部屋の隅の暗闇から数人の男の声が上がる。
 のそのそと闇から這い出て来た男たちを見て、私は声にならない悲鳴を上げた。
 なぜ、なぜ、なぜ
 なんで、ここに
 私の前に姿を見せたのは、前に私を町で襲おうとした男たちだ。
 薄汚れた身なりで、体中から粗暴さが滲み出ている。 

「お前たちがしくじるからだ。高い金を払ったのに」
 ナビスの忌々しそうな声が麻痺した私の頭に響いた。
 しくじる・・・しくじるって、なに。どういうこと。
 「お前たちが始末しそこなったせいで、余計な手間がかかった」
 シマツ・・・始末って?
 私の体は金縛りにあったみたいに硬直している。
 危険を感じてる頭が早く逃げなきゃ、と言ってるのに、足が言うことをきかない。
 恐怖で動けなくなった小さな動物のような私を見て、ナビスが笑った。
「驚かせてごめんね、レーナちゃん」
 あ、もしかして、ドッキリ?
「君は邪魔なんだよ」
 浮かんだ希望はすぐに打ち壊された。
「君が兄上の代理などと、私は認めていない。兄は立派な国王だった、私など足元にも及ばない。でも、2年前、兄は正気を失って国王じゃなくなった。後に残ったのは世間知らずで頭の足りない姫君だけだ」そこで言葉を切って、ナビスは男たちに合図を送った。
 二人の屈強な男に両の腕を挟まれる。抵抗しようとしたけど、びくともしない。
「君さえいなければ、私が王位継承者だ。私が兄上の後を継いで国王になるんだ」
 ああ、そういうことか。
「なんかベタ過ぎ」私のつぶやきに意味が分からなかったナビスが首をかしげる。
「頭が足りないのはどっちよ」体は動けないけど、喋れる。
 なにか言わなくちゃ。
 思い止まらせなきゃ。
「私に何かあったら、いっしょにいたあなたが疑われるだけでしょ」
 アビスは笑った。人の笑顔を憎ったらしいと思ったのは初めてだ。
「疑われる?私のような臆病で小心者で律儀なだけが取り柄のような男が?」
 悪意と狂気に満ちた声で「私が可愛い大切な姪を殺すなどと誰が思う?君はね、私と町に来て、人ごみではぐれてしまうんだよ。私は必死で君を探した。探して探して、やっと貧民街の路地に倒れている君を見つけた。君は胸を刺されていて瀕死だ。最期に『国を頼む』と私に言い残して息が絶えてしまった。私は悲しみにくれる中、君の最期の願いを叶えるために国王の座につくんだ」
 ナビスは何かに憑りつかれたように、ろうろうと語る。私は途中で吐きそうになった。
 狂ってる。
 ずっと、騙していた。お芝居だった。私に優しくしてくれたのも、味方だからね、ってあのとき言ってくれたのも
 あっ!!
 雷鳴のようにひらめいた。
 味方だからねってナビスが言った、あのとき!薄暗い城の廊下で、私はサラさんと町行きの話をしていた。あのとき、後ろにナビスがいた。
 聞いてたんだ。
 ナビスの存在感がなさすぎて、私にはキリウスしか思い出せなかった。
 私が町に行くのを知っていたのは、ナビスだった。
 自分の愚かさかげんに腹が立つってこんな状況のときなんだろう。
「今度はしくじらない。しくじりようがないからね」ナビスの顔が酷薄と狂気の笑いで歪む。
「やれ」と、いかつい顔の男に命令する。
 男の手には大型の包丁に似た刃物が握られている。
 あれで胸を刺されたら、痛いだろうな。痛い。ううん、たぶん死ぬ。
 死ぬ?ここで?
 恐怖が脳を麻痺させてる。
 男が目の前に立った。
 私のめいっぱい見開いた目は、私の心臓めがけて突き出された鋭い刃物の光を映していた。
 

続く。

やっと、書き終わった。

小説。
ざっと・・・書いてはいたけど、直すところが多々あり、清書の段階で加筆されて・・・
なんだか、あれ?こんな終わり方だったっけ?
な、状態。
でも、ま・・・本人は満足しているので、いい。

さて・・・うん。で、せっかく書いたのだから?どこかに投稿しよう、ってなったけど。

候補に勧められた「アルファポリス」と「小説家になろう」(なんか小説とかの投稿サイト)
一応、会員登録してみて、それから、中で投稿されていた、人気ランキングの上位を読んでみたりした。

うむむ・・・。

普段はプロの人気作家さんの小説しか読まない私には「カルチャーショック」だ。

え?こんな文体あり?・・・とか。
え?セリフ・・・多い・・・とか。(セリフだけで話が進む)

文字がぎゅうぎゅうに詰まってる文章が大好きな私には、行間がむだに広い小説が違和感半端なくて。

ちなみに、娘の友だち(中3)が書いたという小説も読ませてもらったけど。
やっぱり、セリフだけで物語が進んでいく。

自分にはない感性が面白くもあり。

でも、こういうのを読み手が求めているのならば、それに合わせていくことも必要なのだろうか?

いや、でも、求められているからといって、自分を変えてまでは書けないし。

今、自分が書けるものを素直に書いていくしかないのだと・・・思う。

まだ、おためし?

続きを読んでやってもいい、という奇特な人がいたので、きょうも小説の続きをアップしてみる。
しかし。やっぱり、文章を書くのは苦手・・・苦手なのだけど、
物語を創るのは楽しい。楽しすぎる。





 翌日、たっぷりの量の朝食を取った後、私は町へ行くための服に着替えた。というか、着替えさせられた。
 身分がばれないように地味な黒い服で髪と顔の半分はベールで隠す。アラビアの女性風の衣装、と言ったら分かりやすいだろうか。
 私をドレスで盛れない少女召使いたちはつまらなさそうだったけど。
 でも、この世界に来て城以外の場所を見るのは初めてだ。
 まるで遠足に行く前の小学生のように私の心は弾んでいた。
 さて、出かけようか、と気合が入ったところで、廊下から騒がしい音が聞こえた。
 なにごと?
 と、訝しく思うヒマもなく、バタン、と乱暴に部屋の扉が開けられた。

 「いけません。お戻りを」と泣きそうな悲鳴を上げる召使いを引きずるようにして、ドカドカと入ってきたのは、熊男のキリウスだった。
 またー!?
 キリウスは私の姿にちょっとの間、目を見張った。
「酔狂な衣装ですな。どちらにお出かけで?」
「あなたには関係ないでしょう」嫌悪を隠さずに私は言い捨てた。サラさんが所用でいないときに、なんてメンドクサイ。
「関係なくはない。私はあなたの婿候補だ」
 まだ言うか、それ。つか、言葉がぞんざいになってるよ。上品な紳士を演じられないほど焦ってるってわけ?
「昨日言ったでしょう。私は誰とも結婚しない。国王代理になるの」私もぞんざいに反撃した。キリウスは一瞬、ひるんだが
「姫に国王代理は無理だ。あなたのようなか弱い女の子が国を統治できるわけがない」
 確かにね、レーナ姫ならか弱くて可憐なお姫様なんだよね、きっと。国王になるよりお嫁さんのほうが向いてるのかもしれない。
「考え直して、どうか、姫、私と結婚を・・・いや、せめて婚約だけでも」
「いーーーやっ!」即答した。「私は好きでもない男性と結婚はできません」
 ガックリと音が聞こえるくらいキリウスは落胆したようだった。何か言いたげな顔をしたが結局は何も言わずに出ていった。
 これであきらめてくれたらいいんだけど。私は暗澹とした気持ちになった。
 それにしても、そんなに国王の座って魅力なの?
 平凡OLの私には国を統治したいっていう気持ちが、まったく理解ができない。

 
 
 町は白い漆喰やレンガ造りの建物と石畳の道でできていて、思っていた以上に清潔感があった。中近東と古いヨーロッパの街を足して2で割った感じかな。
 町から見る城の外観はドイツの有名な城に似ている。もちろん、実物は見たことないんだけど。
 夕方の大型スーパーマーケット並の人出だ。この2年間で税が3倍になって、重税にあえぎ、閑散とした荒れた町になっているのではないかと心配したのは、漫画や小説の読みすぎだろうか。
 市場には所狭しと露店が並んでいて、買う人、売る人の声でそれなりに賑やかだ。肉や果物などの農作物、金物製品、得体のしれない骨董品、妖しい薬草類、どれも珍しくて浮き立つ気分をベールで隠しながら、私はショッピングを楽しんだ。
 貨幣については事前にサラさんのレクチャーを受けていたので、問題はなかった。
 サラさんが私の護衛につけた衛兵2人が、白い前開きシャツにズボンという一般的な町人の格好をして、周囲に目を光らせているのが見えた。
 サラさんは2人では少ないと言い張ったが、ぞろぞろと護衛を引き連れてる女じゃかえって人目を引くって、がんばって説得した。
 城の中では確かに物に関しては不自由はないけど、贅沢な暮らしをしてるとは思うけど。もとは庶民の私には窮屈なのだ、息が苦しくなることもあるのだ。町の空気は自分に馴染んでいるみたいで心地いい。周りの人間の雑多な言葉を聞くのも気持ちいい。
 ただ、気になるのは子供の姿が見えないことだ。
 たしか、平民には学校ってなかったはず。子供たちはどこにいるんだろう。後でサラさんに聞けばわかるだろうか。
 ふと、農作物の露店で見たことのない赤い果実が目に入った。リンゴ?トマト?その中間のような形。味はどんなんだろう。
 その果実を取ろうと手をのばしたとき。
 腕が掴まれた。
 えっ!?
 驚いて横を見ると、私より頭一つ背の低い少年がいた。私の腕を掴む強い力とは裏腹な華奢な体つきだ。
「あの・・・なに?」
「おねーさん、狙われてる」少年は早口で言った。
 は!?
「気づかれないように、斜め右後ろ見て」
 私は少年の指示通り、素知らぬふりして斜め後ろを窺った。
 !明らかに普通の町人ではない剣呑なムードを漂わせたいかつい男が私を見ている。
 なに、アレ。そうだ、私の護衛は?
 護衛のいた場所を見ると、衛兵たちは壁に寄りかかって動かない。気絶させられてる!?
 えええっ、なにがあったのっ、どうしたらいいのっ
「走るよ、いい?」
 パニクってる私は少年の言うことに従うしかなかった。声も出せずにコクコクと頷くと、
「行くよ」少年は私の手を引いて、脱兎のごとく走り出した。
 とっさの私たちの行動に意表をつかれた男は慌てたようだったが、すぐに「逃げたぞ!」と叫ぶ。
 仲間がいるんだ!
 振り向くと屈強な男たちが何人か追ってくるのが見えた。
 捕まったらヤバそうな感じがありありとする。
「速く」少年は鋭い声と同時にスピードを上げた。私は引きずられるように、いや、文字通り引きずられて少年についていった。
 いくつもの角を曲がり、細かい路地を抜け、私が酸欠で悲鳴を上げそうになったころ、ようやくある建物の門の前で止まった。
「ここなら、大丈夫。警護団の宿舎だからね、やつら、ここには来れないよ」
 警護団・・・警察みたいなものなんだろうか。建物は頑健な石造りで最寄りの公民館ほどの大きさだった。
 建物を見ながらゼイゼイと息を吐く私に、少年は「ごめん、かなり無理させた?」
 はい、かなり。
「う、ううん。だい、じょう、ぶ」気丈に答えたけど、大丈夫じゃないことは丸わかりだ。
 自分の運動不足を反省しながら、少年を改めて見る。あんなに走ったのに息も乱れていない・・・それに・・・
 可愛い。
 やばい、可愛い。いや、美少年って言ったほうがいいのかな。
 紫がかった黒い短髪はカラスの濡れ羽色っていうやつ?不思議な光を放つ青緑の瞳。スッキリとした清涼な目鼻立ち・・・って、やっぱりボキャブラリー不足だ。美しさの表現力に乏しい自分を呪う。
 少年は薄汚れた町人の服を上等な服に変えたら、貴族の子息と言っても通りそうだ。
 私はショタコンじゃないけど、年下は趣味じゃないけど。
「あ、あの、助けてくれて、どうも」声がどもってる。
 アイドルを前にしたファンみたいじゃない。恥ずかしい。
「奴ら、あのあたりのチンピラでさ、強請、たかりは当たり前で。殺しもやってるってウワサなんだ。おねーさんをつけてるのが見えたから、ヤバイって思って」
 え?私をつけてた・・・どうして
「家、どこ?送るよ」少年の申し出に私は慌てた。家はお城よ、なんて言えるわけがない。
「大丈夫、一人で帰れるから」
「また奴らに会ったらどうすんの?」少年は本気で心配してくれてるみたい。私を覗きこむキレイな顔が真剣だ。
 もし奴らに会ったら、私ひとりじゃ逃げきれない。
「じゃあ・・・家の近くまで、お願い」私は仕方なく折れた。


 城の裏門まで少年は送ってくれた。
「ここ?城じゃん」少年は青緑の瞳を少し薄めて不思議そうな顔をする。私はとっさに
「あ、私、召使いで、城に住み込みで働いているの」
 この世界にきて、ウソがするりと出る自分に自己嫌悪を感じる。ウソをつく後ろめたさも。
 少年は疑うそぶりもなく「ふーん、そうなんだ、大変だね」
 どういうことが大変なのか分からないけど、私は曖昧に頷いた。
「おねーさん、また町に来ることあんの?」
「え?うん・・・たぶん・・・」サラさんが許してくれたらね。
「だったらもっと粗末な服着て来なよ。そんな上等な絹の服を着た女が一人で市場なんか歩いてたら、チンピラに『誘拐してください』って言ってるようなもんだよ」
 え?そうなの?
「俺、いつもだいたいあの市場にいるからさ。また、会えるといいね」少年はそう言うと帰りかけたが、
「あ、そうだ」と自分の左手首に巻いてあったミサンガのような紐をほどいて、私に投げてよこした。
「それ、また会えるオマジナイ」照れくさそうに笑った顔もカワイイ。
 渡されたミサンガのようなものは黒と紫の紐で変わった編み込みになっていた。
 私がお礼を言おうと目を上げたときには、もう少年の姿は遠くの陽炎なっていた。
 まるで風みたいな少年だったな。
 また、会える・・・かな?会えるといいな。私はミサンガを握りしめた。
 誰かに会いたいと思ったのは、ここに来て初めてのことだった。
 断じて、私はショタコンじゃないのだけれど。


 町での出来事を知ったサラさんは
「もう、お忍びで町に出ることはなりません」静かな口調だけど、目が据わってる。怖い。
 私はサラさんにはないしょにしようって思ってたのに(町に行けなくなるってわかってるから)チンピラにのされた護衛の衛兵たちが報告してしまったのだ。
 彼らの立場なら仕方ないってわかっているけど。
 減俸にされちゃった衛兵も気の毒だけど、町を自由に歩けなくなった私も気の毒だ。
「それにしても」サラさんは怖い表情を張りつけたまま、つぶやくように言った。「町民に扮した護衛がなぜ気づかれたのでしょう」
 はっ、とした。
 そういえば、そうだ。私に護衛がついてるって、どうしてわかったの。
 変だよ。
「レーナ様がお忍びで町に行くことを知っている何者かが企てたとしか・・・」そこまで言ってサラさんは口を閉じた。
「憶測でレーナ様を不安がらせてはなりませんね。この件は私のほうでも調査してみます」
 調査とか、必要ないんじゃない?
 だって・・・町行きを知ってたのは・・・
 私は思い出していた。『酔狂な衣装ですな。どちらにお出かけで?』そう言った、あの男、キリウスの顔を。
 キリウスなら私がどこに行くのか感づいただろう。だから、こんな、私を脅すようなマネをした。
 私が自分に従わないから。
 なんて、傲慢で自分勝手なんだろう。
 あの男に私との結婚をあきらめさせるには、方法は一つしかない。この国の法律でいけば、王女と結婚できるのは大臣位にあるものだけらしい。なら、キリウスを大臣位から降ろせばいい。
 今度、私になにか仕掛けてきたら、必ずシッポをつかんで退位させる。
 私にしては珍しく、勇ましい決意をしたのだった。

 次の日、朝から私はサラさんに「気をつけるから」「今度は大丈夫だから」と必死で町行きを訴えた。
 手を前に組み、上目を使い、美少女のおねだりポーズもサラさんの鋼鉄の心は貫通できなかった。普通の人間なら眉を下げて「しかたないな~」とか言うはずなのに。
 それでも、私は粘る。だって、町は楽しかったし、またあの少年に会いたい・・・じゃなかった、町の様子が知りたいから。立派な国王代理になるために。
 夕食前になって、私の何十度目かの「お願い」に、とうとうサラさんが溜息をついて言った。
「国の様子がお知りになりたいのなら、町長(まちおさ)や村長(むらおさ)を城に招いてお話されたらどうですか?」
 あ。そうか、なるほど。その手もあったか。
 それなら、私が動かなくても国の内情を知ることはできる。町には行けないけど・・・しかたがない、今は王女としての責務をまっとうすることが先だ。
「それでいいです。お願いします。手配していただけますか?」
「かしこまりました。すぐに手はずを整えましょう」
 そう答えてから、サラさんは呼び鈴を手にする。軽やかなベルの音を合図に召使いたちがディナーの支度を始める。今夜のメインディッシュは子羊肉のナントカソースかけ、らしい。
 毎日、一人では食べきれない量の豪華な料理が並ぶけど、余ったものってどうするんだろう。
「私が食べきれなかった料理はどうなるんでしょう」何気なく私は聞いてみた。横で陶器のグラスに飲み物を注いでいたサラさんが手を止めて、一言「破棄されます」
 簡単明瞭だ。捨てるってことね。
 なんて、もったいない。安アパートで、給料日前にはカップ麺のわびしいディナーをとっていた私には「まだ食べられるものを捨てる」とか考えられない。
 捨てる量を減らすために精いっぱいお腹に詰め込んでみたけど。私が太るだけで、問題の解決にはならないと、デザートの甘酸っぱい果物のタルトもどきを、お茶で喉に流し込んだときに気づいた。
「料理の量を減らしていただくことはできませんか?こんなにたくさんあっても」サラさんに提案してみると、
「それは、料理人たちの誰か1人を解雇しろというご命令ですか?」
 は?え?なんで、そういう話になる?
「料理を作る仕事のなくなった料理人は不必要でございましょう?」サラさんが感情のない声で言う。
 ・・・・ああ・・・そういうことになるんだ。
 つまり、私が言ったのは、料理人をリストラしろっていうのと同じだったんだ。
「いえ、やっぱり今までの量でいいです」そう言うしかなかった。簡単にはいかないものだな。
 早く、打開策を考えなくちゃ。私がブクブク太ってしまう前に。

 数日後には仕事の早いサラさんの手によって、城の謁見の間に各地の町長、村長20人ほどが集められた。
 むろん、このことは大臣たちには秘密だ。余計な口を挟まれたくはない。
 町長たちは一様に不安げな表情で身を縮めている。わけも分からずに城に呼びつけられたのだ、何か咎めがあるのではないか、と思うのも当たり前だろう。
 私は警戒心をあらわにしている町長たちに努めて穏やかに語りかけた。
「私はただ、この国のことをもっとよく知りたいのです。ですから、みなさんの町や村のことで思ってること、何か問題なことがあれば教えていただきたいのです」
 それでも「おそれながら」と話し出そうという者はいない。下手なことを言って処罰されるのを恐れているのだろう。
 会議で誰も発言しないときのような、重苦しい沈黙の時間が流れる。
 ええい、もう。
 私はすっくと立ちあがった。
 警戒心の強い動物に上から手をやってはダメだ。上座からふんぞり返って本音の話を聞こうなんて、無理なんだ。
 ドレスの裾をたくし上げて、私は町長たちと同じ床にペタリと座った。
 私の行動に驚きのどよめきが湧いた。鋼鉄の侍女サラさんでさえ、目を見張っている。それほど稀有な行動なのだな。
 隣に座っている中年の男に私はにっこりと天使のように微笑みかけた。
「なにか困ってることはありませんか?私で力になれることがあればおっしゃってください」
 男は思案しているように眉間にシワを寄せていたけど、こんなけなげな美少女だったら、話しても咎にはなるまい、と判断したのだろう。
 ためらいがちにポツポツと話し出した。
 一人が話し出すと、後はもう雪崩のように陳情が押し寄せた。まるで限界まで水を貯めこんだダムが決壊するかのように。
 
 結果。
 その夜、私は部屋で重い頭を抱えることになったのだ。
 活気があると思っていたのは、城下にある町だけで、城から離れるごとに民人の暮らしは貧しく、厳しいものになっていった。
 3倍になった税に耐えきれず、子を売る、娘が身売りする、家族で夜逃げも頻繁にあることだという。
 ある小さな村では飢えのあまり5才の子供が毒草を食べてしまい、半身が不随になったという。その話を聞き、不覚にもボロボロと泣き出してしまった私を、村長たちがオロオロと慰めるという一幕もあった。
 押し込み強盗や追いはぎも増え続け、抵抗する手立てのない人々が犠牲になっている。治安は悪化する一方だ。
 町で子供たちを見なかった理由もわかった。家から出すと攫われて売られてしまうからだ。
 子供が外で遊べない国。それが今のローマリウスを表している。
 民人の陳情は断末魔の悲鳴のように思えた。
 むろん、町長、村長も何もしなかったわけではない。何度も大臣の配下の役人に直訴した、が、その声はどこかで握りつぶされ、かえって大臣を煩わせるという咎で処罰された者もいるという。
 昔の話ではよくあることだ。地方の役人たちが、上には知られたくない悪いことをしてるわけだ。
 サイアクだ。こうなったのは国に無関心だったレーナ、つまり私の責任でもある。
 このまま放置することはできない。
 私はサラさんを呼んだ。
 至急、臨時国会・・・もとい、大臣たちとの話し合いの場を設けるよう命じるために。
  

 続く




私は自分の創ったキャラクターがめちゃ、愛おしい。
創造したキャラクターが物語の中では生きている。
私の手を離れたところで生きているような気がする。

おためし2

小説。なんとなく・・・前回の続きを公開(;´∀`)
前回は12月15日のブログですだ。



 翌日、肉や野菜、卵のたっぷり詰まった山盛りのサンドイッチと木苺のタルトもどき、果物のジュースといった昼食をすませた後、執務室で一人、サラさんが用意してくれた書類とにらめっこを始めた。
 この世界の文字が読めるのだろうかと不安だったけど、話せたのと同様に文字も読めるようだった。ただし、レーナが分からない文字は私も読めない。
17歳にしてはなさすぎる学力に私は何度も溜息をつきながら、書類と格闘しなければならなかった。
 地図によるとローマリウスの他に3つの王国がある。それとどの国にも属さない魔法国マグノリア。国土だけだとローマリウスが1番広い。
 ま、広けりゃいいってもんじゃないけど。
 主な産業は商業、林業、農業、漁業・・・近代化されてないだけで日本と変わらない。平民に対して学校という制度はないみたい。だめね、もっと国民の教育水準あげなきゃ。
 最近決めた法律は、と。
 『男子は15歳になったら兵舎に入り兵士訓練を2年間受ける』・・・体育会系熊男が考えそうなことね。
 『国民1人につき1つ、特定の番号が与えられる』・・・マイナンバーってことかな?ま、人口把握とかにはいいかも。
 『荷車の所有者には1台につき銅3枚を徴収する』・・・重量税かな。
 『年に4回の料理大会を催す』・・・なんじゃそりゃ。
 後はなんだか重箱の隅をつつくような法改正をつらつらと斜め読みしていく。
 たいして重要とも思えない内容が続いたので、なんだか瞼が重たくなってきてしまった。
 あくびを噛み殺しながら、涙目で文字を追っていると。
 んっ?私の琴線的なものに何かが引っかかった。
 あれ?なんかコレ、変じゃない?
 自分の目がおかしくなったかと、目をこすってみたけど、やっぱり書面の文字と数字は変わらない。
 まさか、うそでしょ、こんな・・・
 これが本当なら、この国の国民は・・・・・・
 そこに記されていた常識では考えられない内容に私は考え込んでしまった。


 
 
 快気祝い舞踏会のその日、私は気合の入った召使いらにさらに磨きをかけられた。少女召使いたちがキャッキャとはしゃぎながら選んだ「舞踏会にふさわしい」ドレスは。薄い桃色の絹に金銀の糸で刺繍がほどこされ、所々に宝石が散りばめられていた。ティアラにも貴重な宝石がふんだんに使われている。
 まるで札束を着ている気分だ。
 胸元を飾るピンクダイヤに似た宝石だけでアパートの1年・・・ううん、2年分くらいの家賃は払えそう。
 などというシミったれた計算は顔に出さず、私はドレスの裾を優雅に持ちあげ、艶然と微笑んでみせた。
 王女、私の登場で舞踏会の大広間は静まり返る。着飾った男女で溢れる広間の中央のレッドカーペットを私はモデルのように歩く。
 一同の視線が私に集中しているのを感じるけど、あまり緊張しないのは、すべてがお芝居のようで現実感が乏しいせいかもしれない。
 舞台に上がった女優ってこんな気持ちなのかな?自分の度胸に自分で感動してしまう。
 私の美しさに感嘆の声かあちこちから洩れるのが聞える。宮廷の楽団でさえ演奏を忘れて、私に見惚れているみたい。
 サラさんは上等な絹に銀のバラの刺繍がほどこされた黒いドレスに身を包んでいる。結い上げた髪は黒いバラのコサージュで止めてある。やはり、ちゃんと装ったら美しい女性だ。
 サラさんが楽団に促したようだ。慌てたように楽の音が流れ出す。

 さあ、舞踏会、というか集団見合いの始まりだ。 


「姫、一曲お相手願えますか?」
 なんとなく予想はしてたけど、ダンスを真っ先に申し込んできたのは熊・・・もといトマール・デ・キリウスだった。
 きょうはチャイナスーツの腰をギュッと絞ったようなデザインの服に、黒い皮のロングブーツだ。
 よかった。フランスの宮廷貴族のような白いぴっちりタイツにハイヒールの靴なんて履いてこられたら、吹き出さずにいられる自信がなかった。
 キリウスの手を取り、姫様らしく鷹揚に微笑んで
「喜んで」と私は応える。
 ああ、私、この世界にきて、人格は崩壊。ウソも上手くなったわ。
 でも、はた、と重大なことを思い出した。今さらだけど。私、ダンス踊れるの!?
 現代でダンスなんか習ったことないよ!?せいぜい高校の体育祭でフォークダンスを踊ったくらい・・・
「あ、あのキリウス様」
 キリウスが、なにか?というように片眉をあげた。
「私、その・・・病み上がりなので、足がもつれるかも」へたくそだった場合の予防線をしっかり張る。黒ヒゲで口元はよく見えないけど、キリウスは笑ったようだった。
 それがなんとなく少年っぽく見えた。
 もしかして私が想像してるより歳は若いのかもしれない。そういえば、爵位を先月継いだばかりって、サラさんが言ってたっけ。
「大丈夫ですよ、レーナ姫。私がリードしますから」
 あら、意外に紳士的なんだ。
 泳げる人間は例え記憶を無くしても泳げるのだと聞いたことがある。ダンスの記憶は無くても体が覚えているみたいで、私の足は勝手に軽やかなステップを踏む。
「病み上がりとは思えませんよ」キリウスの猛獣のような青い瞳も、今は獲物を腹におさめて満足で穏やかな獣の瞳のようだ。それに体育会系はダンスも上手い。少し見直した。
 曲がスローになり、私はキリウスの肩に頭を預けて、ゆったりとした体の流れを楽しんだ。
 踊りって気持ちいいんだ。駅の階段の上り下りさえ息が切れる私にはダンスなんて無縁だったものね。
「姫はやはり私と結婚されるのがいい」
 は!?
 イキナリ頭上で声がして、私はキリウスを見上げた。ヒゲで表情はよく分からないけど、目は不穏な色をはらんでいる。
「そのほうが貴女の身のためだ」
 頭がカッと熱くなった。え、なに、それ、脅し!?
 見直したの、間違いだった!
 私はステップを間違えたふりをして、思いっきり体重をかけてキリウスの足を踏んづけた。
「いっ」
「あ~ら、ごめんあそばせ」
 ギリギリと歯噛みが聞えそうなキリウスを放っておいて、私は王女用の席にスタコラサッサと戻った。

 私の身のためって、なに!?結婚しなかったら何をするっていうのよ!
 こんなとこで、脅迫とか、あり得ない。
 私は憤慨のあまり目の前も見えていなかったらしい。
「レーナ様」サラさんの声で我にかえる。
 目の焦点が目の前に立っている男に合った。
「第2大臣ナビス・デ・ローマリウス公爵様です」サラさんがそっと耳打ちしてくれた。
 えっと・・・これが、大臣?目の前にいるのはメガネをかけた貧相なネズミ顔の小男だった。服はフランスの宮廷貴族のソレで、似合わなすぎるのが吹き出すよりなんだか哀れになった。
 男はおどおどと手を差し出すと、私にダンスを申し込んだ。
 並んで踊ってみると、身長は私より2,3センチは高い。小男だと思ったんだけど、キリウスが高すぎたせいで感覚がマヒしてしまったみたい。
 そういえば、このネズミさんも私の婿候補なんだよね。ずいぶん、年上っぽいけど。ま、親子ほど齢が違う結婚も昔は普通だったんだよね。
 「兄上も大変なことでした」踊りながらメガネのネズミ・・・ナビス・デ・ローマリウスが小声で言った。
 うん?兄上って?
「レーナちゃんも大けがで大変だったでしょう。ずっと心配してたんだよ」
 んん?レーナちゃん?
 王女・・・私をレーナちゃんと呼ぶこの人はいったい・・・だれ?

 「ナビス・デ・ローマリウス様は国王の弟君です」席に戻った私にサラさんがこともなく告げる。
 は!?弟!?
 あ、だから、姓がローマリウスなんだ。でも、国王、私のお父さんの弟ってことは私の叔父さんってことでしょ?え!?叔父さんが婿候補!?
「ご安心ください。ナビス様は独身でいらっしゃいます」
 サラさん、問題点はそこじゃない。
「叔父さんって血縁者だよ・・・じゃなくて血縁者でしょう?結婚はできないのでは?」
 私が何を言ってるのか分からないとでも言うように眉をしかめたサラさんは「国王の弟君との結婚がおかしいとでも?」
 あ、そういうの、いい世界なんだ。私のいた現代じゃ法律でも禁止されてたし、倫理的にも無理だったもんね。
 ここじゃ当たり前のことでも、現代を生きてきた私にはどうしても享受すること、無理。
 叔父との結婚は100%あり得ない。
 あと、あんな小動物みたいな人が国のナンバー3あたりにいるのも国王の弟なら納得。ここじゃ、実力や能力よりも地位や財産で役職が決まるらしい。
 ま、そんなの珍しいことじゃないけど。現代だって、いまだに社長以下、重要ポストは親族っていう同族会社あるもんね。
 
 結婚相手候補者として、熊男と叔父が削除された。
 
 さて、次のお相手は・・・・・
 
 
 「第3大臣、カテリア・デ・ニーサル公爵様です」
 紹介されても私はしばらくお地蔵さまになって固まっていた。
 青白い顔色に三白眼、不機嫌な顔をして目の前に立っているのは・・・パワハラ課長田所だった・・・じゃなくて、宮廷衣装に身を包んだ田所課長激似のおじさんだった。
 もう、カンベンしてーーー
 田所課長似の男、ニーサルは無言で手を差し出した。私も無言で手を取る。
 ぎくしゃくとダンスを踊りながら、私の頭には「無理無理無理無理」のフレーズがエンドレスに流れていた。
 困ったことに似てるのは顔だけじゃないらしい。始終ムッとした顔で「年下の小娘なんぞの機嫌がとれるか」オーラが体中に充満していた。
 無言のダンスは針のムシロのようになにかと痛い。
 曲が終わって席に戻ったときには心底疲れ切っていた。ダンスだけでこんなに生気を吸い取られるのだ。結婚したらどうなるか火を見るよりも明らか。
「ニーサル公爵様は残念ながら私になど興味はなさそうですわ」サラさんに悪態の一つもついてみたくなる。
「そうですね、ニーサル様はお金にしか興味がないかただという噂ですから」軽く応えられた。
 愛なんてなくったって、相手を好きじゃなくったって、お金のためなら結婚できるのか。
 『政略結婚』理屈ではわかってるけど、自分にそれができるのか疑問になってきた。
 

 こうなったら最後の一人に賭けるしかない。お金持ちで性格がよくて頭も切れるイケメンじゃなくってもいい。高望みしない、ごく普通の人間なら、当たり前の人間の会話ができるレベルなら、それで合格点にする。
 私は結婚相手の条件を、高さ10センチのハードルまで下げた。
「サラ、次の大臣は?」
 サラさんはしばらく広間を見渡していたけど「第4大臣のエブ・デ・アランフェット公爵様はあそこにいらっしゃいます」
 あそこ・・・あそこ・・・私はサラさんの視線をずーっと追ってみた。
 視線の先に美しい女性たちに囲まれたイケメンの青年がいて・・・。
 視線はそこを通り越して、たどり着いたのは、宮廷料理長が私の快気祝いのために腕を振るったご馳走が並ぶテーブル。その場所に、横幅が常人の3倍はあろうかという巨体の男がいた。
 ローマ法王が着ているような裾の長いゆったりとした服に、はち切れんばかりの横皺がよってる。
 私はおそるおそるサラさんに尋ねてみた。「まさか・・・アノ物体・・・じゃなくて殿方が」
「エブ・デ・アランフェット様です」
 絶望、という文字が視界いっぱいに広がる。高さ10センチのハードルさえ飛び越せない人間がいるのだと、思い知った瞬間だった。
 もしゃもしゃくちゃくちゃと忙しくテーブルの料理を腹におさめているデブ・・・巨体の男が私をダンスに誘いに来る様子はみじんもない。
 てか、踊れるのか、その体で!?
「アランフェット様は3度の食事より食べることがお好きなのです」サラさん?言ってることがオカシイですよ?サラさんのほうを伺い見ると、彼女の目はどこか遠くをさまよっている。
 アレは婿としてないだろう。サラさんもきっとそう思ってるはず。


 どこかで『4人のイケメン大臣と王女のラブラブ国作り~愛の争奪戦~』的な乙女ゲー展開を期待していた私の野望は、修復不可能な原子レベルまで打ち砕かれた。
 4人のだれかと結婚・・・なんて、私の人生が崩壊する。死んでも無理だ。ということは
 私に残された選択は1つしかない。
 私が国王代理として国を統治することだ。
 できるだろうか、じゃない。やらなきゃ。少なくとも私は温室で育った純粋培養の17歳の小娘ではないし、漫画と小説と現代でつちかった知識がある。
 嫌いな相手と結婚するくらいなら死んだほうがマシ。死ぬ覚悟があるなら国だってなんだって統治できるわ。
結婚に対する壮大な絶望が、私にいまだかつてない無謀な闘志を沸き立たせた。


 舞踏会から3日後の夜。
 私は4大臣を会議の間に召集した。(実際に段取りしたのはサラさんだけど)
 サラさんにもまだ私の考えは打ち明けてはいない。彼女もきっときょう発表されるのは『婿候補』の名前だと思っているだろう。
 召使いや衛兵の間では「王女は誰を選ぶのか?」という賭けまであると、耳に届いた。
 くそいまいましいことに、有力候補はキリウスだという。
 会議の間に入ると、背もたれが身長ほどありそうな大きな椅子に私は座った。私の後ろにはサラさんが直立不動で控えている。4人の大臣たちが全員席につくと、私は静かに可憐な声で爆弾発言をした。
「まず、初めに宣言します。私はこの中の誰とも結婚はいたしません」
 みんなが一様に「は?」という顔をした。それから、姫のたわ言だと思ったのか失笑するもの、怪訝そうに眉にしわを寄せるもの、わけが分からずポカンなもの。
 それぞれの反応を無視して
「ですから、これから私は国王代理として国務につき、この国を統治することにします」
 今度はどよめきが起きる。キリウスのほうをちらりと見ると険しい目をして私を凝視している。
「それは本気で言っておられるのかな?レーナ姫」声を上げたのは田所課長・・・似のニーサルだ。「失礼ながら、レーナ姫には国務は重荷と思われますが」冷笑と侮蔑が言葉ににじんでいる。
「そうですよ。ニーサル公の言う通りです」巨体のアランフェットがニーサルに追従する。「お遊び感覚で国の統治はできませんよ。そんなことよりも、きょうの会議にはお茶とお菓子は出ないので?」頬をブルブルと震わせながら言う。
 叔父のナビスはオロオロと不安げに見ているだけだ。
 真っ先に文句を言いそうなキリウスが押し黙っているのが不気味だけど。
 「本気ですよ、私は。なので、国王代理として、手始めに皆さんに質問があります」
 舞踏会が開かれる前に、私はこの国のことを知りたくて、国に関する様々な資料を読んだ。
 その時、とても信じられないモノを見て考え込んでしまった。その内容とは・・・
「この2年間で税が3倍になっているのはなぜなのでしょうか」
 みんなが一瞬で石化した。アホ姫のことだ、質問と言ったって、せいぜい『明日の天気は?』くらいだろうと思っていたに違いない。
 税が3倍というのは、消費税が10%だとしたら、2年間で30%に上がることだ。政権がひっくり返えるくらいの増税だ。そんなの私の常識ではまずあり得ない。
「国王が政(まつりごと)を大臣がたに託した2年間に、なぜ3倍もの増税が必要になったかを説明していただけませんか」予想だにしなかった質問に、みんなの焦りの目が慌ただしく泳いでいる。
「キリウス様、ご説明を」私はキリウスにふった。放心状態だったキリウスはハッと我に返り、
「それは・・・色々と・・・武器の購入だとか、兵舎の老朽化による建て替えだとか・・・兵士の訓練費用だとかの予算が」普段はあんなに自信満々なキリウスが言い澱んでいる。
「それに食糧輸入の増大と、備蓄にかかる費用の拡充と」アランフェットが汗をかきかき言い添える。
「それに、各地方の治水工事や災害による修復工事、有事に備えて国家財源の補充もありますな」ニーサルが侮蔑をあらわにして言った「姫様には聞いても理解はできんでしょうが」
 理解できないなどと、侮ってもらっちゃ困る。
 言い忘れていたが、私が会社で所属していたのは『経理課』だった。毎日、勘定科目やら金銭出納やら税務処理やらと格闘していたんだ。
 私は天使のようにニッコリと微笑むと、
「では、私にも理解できるように、購入物品の明細書と支払い書、証明書など、詳しい報告書を近日中に提出してください」
 レーナ姫はろくに足し算もできない、キレイなだけのお飾り姫だと高を括っていた大臣たちは慌てふためいた。
「なんでそんな面倒なことを我々が・・・」とニーサルが不満もあらわに、口をとがらせて言いかけたが
「国王代理である私の命令です。それでも異を唱えますか?」
 私の言葉にそれ以上反論の口を開く者はいなかった。

 会議の間をサラさんといっしょに退室して、少し陽の落ちた薄暗い廊下を歩きながら
「サラは私が国王代理になることを、どう思います?」
「よろしいかと存じます」
 先に立って歩くサラさんは振り返ることもなく背中で応えた。賛成も反対もしていない中立の立場だと匂わせている。
「私は今まで通りレーナ様にお仕えするだけでございます」
 うん、サラさんはそれでいいと思う。
「ですが、大臣たちを従わせ、国を統治するのは大変ですよ」サラさんの声に抑揚はないけど、私を案じているようには思える。
「サラ、私はもっとこの国のことが知りたいのです。書類に書かれた情報ではなくて、生の姿のこの国を知りたいのです」
 サラさんは、足を止め振り返ると、王女は何を言いたいんだ?みたいな目で私の顔を見た。
「だから私、お忍びで町に行ってはいけませんか?王女の身分を隠して、国を見てみたいのです」
 これから国を統治しようっていうのに、私は自分の国の国民の姿さえ知らない。自分のこの目で民の暮らしをみてみたい。
 そう、サラさんに訴えた。
「でしたら、王女として国の視察をされたらいかがですか」
「それも、しようと思います。でも、衛兵に囲まれて、用意された場所で用意されたものしか見ないのでは、本当の国のありさまなど分かりません」
 正直、微笑みを浮かべて、馬車の窓から国民に手をふるだけじゃ、国が今どうなってるかなんてわかるわけないと思う・・・もちろん、手をふるのも大切な王女の仕事だとは思うけど。
 私の言葉に応えようと口を開きかけたサラさんだったが、ハッとしたように視線を私の後ろに向け、「ローマリウス様」
 えっ?
 後ろを振り返ると、そこに叔父のナビスが立っていた。
 いつの間にっ。
 いくら廊下が薄暗いとしても、この存在感のなさはまるで幽霊だ。生きてる人間のオーラを感じない。
「あ・・・あの・・・邪魔をしてごめん」叔父は小動物が鳴くような早口の小声で「一言、レーナちゃんに言いたくて」
 周りの空気にさえ怯えてるいるような叔父は、ゴクリと息を飲むと
「さっきはびっくりした。レーナちゃんがあんなことを考えていたなんて思わなかった。でも、立派だったよ。兄も義姉もレーナちゃんの決断に喜んでいると思う」
 えっ。叔父さんは賛成なの?私が国王代理になること。
「私は頼りない叔父だけど、レーナちゃんの味方だからね。がんばるんだよ」そこまで一気に言ってしまうと、逃げ出すように引き返していった。
 その、小さな後ろ姿を見ながら私は胸が温かくなった。やっぱり血縁者なんだ・・・ちゃんとわかってくれてる。
 メガネをかけたネズミみたいだって思って申し訳なかったな。心の中で手を合わせる。
 そして、再びサラさんのほうに向き直ると「ねぇ、サラ、いいでしょう?」
 サラさんはしばらく険しい顔で思案していたが、護衛をつけることを条件に町へ行くことを許してくれた。


ま・・・お試しなので。
細部は書き直して別サイトに投稿・・・かも。
ちなみに、これを読んでいるのは中学3年生の娘。
娘用に書いている・・・と言っても過言ではないのだ。
でも娘の感想は「普通」冷淡なものだ。

おためし

ブロ友に触発されて、小説などを・・・書いてみた。
でも、あれだ、私の日本語は怪しいし、小説としては成り立っているのか
はなはだ疑問。
一応、お試しってことで。
注意「異世界転移」ものなので、そういうのダメな方はごめんなさいm(__)m



タイトル:未定


 「ほんっとにムカツク」
 同僚の柴田さんの何度目かの「ムカツク」を耳にしながら、私はカルボナーラをフォークに巻きつける作業に専念しようとしていた。
「アイツ、自分のこと何様だって思ってるんだろ」
 柴田さんが生ビールをあおるように、ワインをグビグビと赤い唇に流し込むのを横目で見て、私は口の中にそっと溜息を吐きだした。
 嫌な予感がしたのだ。
 定時で会社を出ようとした私に、同じ課の、さして親しくもない柴田さんが
「ねぇ、晩ごはんいっしょに食べない?おごるから」
 とか、ねこなで声で誘いをかけてきた時に。
「ごめんなさい。今夜は用事があるから」って、とっさにウソのつけない愚鈍な私はオシャレなイタリアンレストランで同僚のエンドレスな愚痴を聞くはめになった。
 いや、用事はあったのだ。
 日曜日に図書館から借りてきた本の続きを読む、という、私にとっては重大な用事が。
 昨夜、物語がちょうどクライマックスを迎えたときに睡魔に襲われて、断腸の思いでページを閉じたのだ。
 きょうは金曜、明日は会社も休みだし、夜通し本が読めると楽しみにしてたのに。
 はっきりいって、こんなところで同僚のグチをきいてるヒマはない。早く帰って物語の続きを・・・・・
「聞いてるの?小島さん!」
 名前を呼ばれてはっと我にかえる。私を見る柴田さんの目が据わっている。もう酔ってるみたい。
「あなただって、田所課長には嫌な思いしてるんでしょ」
 私の頭に、女性社員不人気ナンバーワン上司、田所課長の三白眼で青白い顔が浮かぶ。部下のちょっとしたミスを見つけては、イヤミと暴言を吐くパワハラ課長だ。
 でも、会社では何事も控えめに、目立たないようにひっそりと息をひそめている私は、さほどパワハラ被害を受けていない。というか、課長の目に私が映ってるかすら怪しい。
 私が嫌な思いをしているかどうかと尋ねられたら、微妙なところなのだ。
 ここで柴田さんに同意すべきだろうか、それとも否定すべきだろうか。
 眉間にしわをよせて悩んでいたら、
「そう、言葉では言えないくらい嫌な思いをしてるのね」
 柴田さんが私の心情を勝手に解釈して、あたたかな、あわれみの目を向けたくれた。
 よかった。答えるのを免れた。
 と、ほっとしたのもつかの間。
「今夜はとことん飲もう!!朝までいくわよ!!」
 高らかな柴田さんの『朝まで宣言』に私は気が遠くなった。

 ああ・・・・神様。タスケテ。
 私をオウチに帰して。


う・・・う・・・・
あたま・・・いたい・・・
のどが・・・・かわいた・・・・
あたま・・・いた・・・
のど・・・

 水が飲みたい
 
ぼんやりと意識が戻った。
 ・・・頭が痛い。ゆうべ・・・そうだ、昨夜、飲み過ぎちゃったんだ。
 二日酔いがこんなにキツイって思わなかった。ガンガン、ガンガン、頭の中で道路工事されてる気分。
 もう、絶対、絶対、飲みに誘われても、いくもんか。
 痛む頭の中で昨夜の記憶を探した。
レストランを出て、私は柴田さんの馴染みのカクテルバーに連れていかれた。
それで、なんかコーヒー牛乳っぽい味のお酒をすすめられて・・・あれは、美味しかった。3杯は飲んだかな。
あ、その後メロン味のも飲んで・・・ジュースみたいで何杯でもいけた。いや、いっちゃいけなかったのに。
 酔ってて。なんだかとっても気分が悪くなって。そういえば「大丈夫?」とか「救急車を」とか聞こえたようなような気がするけど。
 ・・・そこから先の記憶がどこにもない。
私、どうやって帰ったんだろ。そうだ、店の支払いは?私、どうしたっけ?
頭を起こそうとして激痛におそわれる。
ダメだ、考えるのは後。とにかく今は
「みず、のみたい」ひどい、かすれ声。
 言葉にして、気がついた。 私はアパートに一人暮らしじゃん。水を持って来てくれる人がいるわけじゃあるまいし。

「気がつかれたわ」
ん?
「お水、って聞こえたわ」
え?だれか、私の部屋にいるの?
「誰かお水を。それと、早くお医者さまを呼んできて」
お、い、しゃ・・・医者、って、ここは病院?
・・・・・病院・・・ってことは・・・えっと。
私、どうなってるんだろ。
重いまぶたに神経を集中させてこじ開けてみる。
目の前に白い天井が見え・・・
白い?
いや、白くないし。むしろ、極彩色の、これは・・・この天井は。
そう、天井画ってやつだ。天井いっぱいに絵が描いてある。なんか、色っぽいおねーさんがいて、周りを羽の生えた赤ん坊のようなのが飛んでる。
すごいな、天井にこんなのよく描けるなぁ・・・って、そうじゃない!
ガバッと起きそうになって、私は痛みで軽くあの世に逝きそうになった。
いかん・・・
薄目を開けて辺りの様子をうかがう。

私を遠巻きに見ている数人の女性が見える。
 人がいる。でも、なんか、すごく違和感。
 なんでみんなドレスなの?しかもめっちゃ古臭いデザイン。実物は見たことないけど、中世ヨーロッパがこんな感じだっけ。いや、違和感は古臭いドレスだけじゃない。どう見ても、日本人顔と違う。
 彫の深い顔立ちに、金髪、栗色の髪、青色や緑色の目。
でも、言葉はわかる。おかしいよね、なんなのコレ。
あ、そうか、わかった、これ夢だ。
夢の中で「これは夢だ」っていうアレ。だから、夢。
 
「レイブラント先生、早く、こちらです」
女性の声と、重厚な扉が開く音が聞こえた。そちらに目をやると、召使い風のエプロンドレスを着た女性と初老の男性が部屋に入ってくるのが見えた。
牧師みたいな黒い服を着て白いヤギひげをはやした初老の男性は、私の寝ているベッドの横に来るとかがみこんだ。
 そして「失礼します」と、私の手を取った。
 脈をとられている感じがする。このおじいさんが医者なの?
 でも、妙にリアルな夢だな。いつまで続くんだろう。いい加減目を覚ましたいよ。
「名前は?ご自分の名前をいえますか?」初老の男性が私に聞いている。
名前?私の名前?
当たり前じゃない。自分の名前くらい分かるわよ。
「み・・・みさと・・・小島、美里」かすれた声だけど、きちんと言えた。
私の名前を聞いた男性の表情が歪み、今度はゆっくりと噛むように言った。
「あなたのなまえですよ?なまえをいってください」
だからーーーーー
私は再び自分の名前を繰り返す。
男性は困惑した表情のまま周囲を見渡すと、
「レーナ様は記憶に障害があります。おそらく落馬の衝撃で脳に傷を負われたのでしょう。ですが、峠は越しました。もう大丈夫です」
周囲に安堵と落胆が入り混じる複雑な溜息がもれた。
 なんなの、どういう夢なのよ。
 夢を見るのに疲れたのか、私の意識はだんだん白い幕に包まれていった。
 今度目を覚ましたら、私が見るのはアパートの天井の見慣れた木目に違いない。そうであるといいな、と思いながら白濁の世界に沈んでいった。


夢なら覚めて・・・っていう言葉があったような気がする。
 2度、目が覚めたのに、やっぱり私は違和感のある世界でベッドに寝ていて、見えるのは天井画と、中世風な服を着た日本人じゃない人たち。
 頭の痛みも、のどの渇きも、手を取られた感触も。どれも現実のものだった。
 自分がどこにいて、どうなってしまったのか、まったく理解できないけど、体が水分を欲する欲求には勝てなくて。
 私はエプロンドレス姿の若い女性に体を起こすのを手伝ってもらって、水を飲んだ。
 冷たい水が全身を巡る心地よさに生き返った気がする。頭の痛みも少し楽になったみたい。
 で。
 改めて水が入った銀色の器を持つ自分の手に気がついたりする。
 は?
 なにこれ?
 私は自分の手をまじまじと見る。指の細い真っ白なきゃしゃな手。よくテレビのハンドクリームのCMに出てくるような。いや、それ以上にキレイな手。
 でも。
 これは私の手じゃない。
 包帯の巻かれた頭に手をやってみる。髪にふれる。長い巻き毛が指に絡みつく。
 なに、これ。
「か・・・かがみ」
 水を飲ませてくれた女性が「なにか?」という顔でこちらを見た。
「鏡、鏡を見せて」
 あ。声も違うことに気づいた。水を飲む前はかすれてわからなかったけど、こんな鈴を転がしたような愛らしい声じゃない、私は。
 女性から渡された華美な装飾のある手鏡をおそるおそるのぞきこみ、私はつぶやいた。
 だれ?
 そこに映っていたのはミディアムボブの黒髪でメガネをかけた25歳の平凡なOLの顔・・・
 じゃなかった。
 黄金色に輝く豊かな巻き毛。長いまつ毛にふちどられた琥珀色の瞳。10代の少女のツルツルした白い陶磁器の肌。サクランボのような・・・
 って、私の乏しいボキャブラリーでは表現できないくらい美しい少女が、鏡の中であぜんと私を見つめていた。

 これって、「異世界転生」・・・いやこういう場合は「異世界転移」って言ったほうがいいのかな?
 ショックのあまり、どこかを突き抜けてしまったらしい。まるで他人ごとのように現状を分析したりしてる。
 そうだ、日曜日に借りてきた本。まだ読みかけだったアレ。
 タイトルは確か『女子高生の私が異世界で魔法使いになりました。王子様といっしょに魔王を倒します』だったかな?
 内容はまんま、タイトル通りだった。普通の高校生女子が車にはねられたら、なぜかファンタジー系の異世界にいて、そこでは魔法が使えて、王子様といっしょに悪の魔王を倒す旅に出て。
 (途中、王子様に愛の告白をされたりするエピソードもあったり)やっと魔王の城までたどりついたところだったのに。睡魔に襲われて最後まで読めなかった。
 は~~っ・・・私ったら、自分が異世界転移しちゃってどうするの。
 自分に突っ込みをいれて痛む頭を抱えた。

 現実問題。
 異世界に転移してきちゃったらそこで生きていかなきゃならないのは動かせない定説だ。
 となると、この世界での自分の立ち位置を把握するのが先決。
 絵付きの天井といい、シルクかなにかでできたふかふかの寝具といい、(見える範囲の)部屋の豪華なアンティーク家具といい、数人の召使いといい、私はお金持ちのお嬢様らしい。
 しかも若くて美少女というラッキーオプションつき。
 とりあえず、衣食住には困らない。最低限、それさえあれば現代だって異世界だって生きていける。
 へたに農民とかに転移しちゃってみ?ここでの知識がない私はすぐにのたれ死にのバッドエンドだ。
 それに、乗馬中に馬から落ちて頭を打って記憶障害っていうのも私にはものすごく都合がいい。
 おかしな言動をしても不思議に思われないだろうし、わからないことは聞ける。
 現代の平凡なOLが異世界で平凡なお嬢様として生きていくくらいなら
「うん、なんとかなるかも」


 「おはようございます、レーナ様」
 朝の挨拶をしに来た女性を私はぼーっと見ていた。あきらかに召使いとは違う雰囲気。威厳と言うか、気品というか、私には無縁のものを持っている。
 美人さんだけど、キツイ感じがする。栗色のおだんご髪に、喪服のような地味な黒いドレスがずいぶん年上に見えるけど、実際は私(美里)より少し上かな?っていう感じ。西洋人の齢ってよくわからないんだけど。
 でも、同じ雰囲気を持つ人を知ってるような・・・あ、そうだ!秘書課の花咲さんだ。花咲さんの雰囲気にそっくり。
 美人だけど人を見下す目をしてる。確かに社長秘書だし、有名大学卒だし、無名高校卒の私なんか足元のミミズくらいに思われても当然。
 「私のことは覚えておいでですか?」覚えてるもなにも初対面だもの。私は無言で首を振る。
「私はサラ・アミゼーラと申します。あなた様付きの侍女をしております」
 侍女って、えーと。たしか。
 王族とか貴族に仕えて雑用や身の回りの世話をする女性・・・のことだったよね。
 ってことは、もしかして、私ってけっこう身分高いの、かな?
 わからないことは、聞いてみよう。
「あの、私って、貴族とかそういう感じですか?」
 サラと名乗った女性は、一瞬だけ眉をひそめて、私を見つめると硬い口調で言った。
「レーナ様、あなたはこの国、ローマリウス国の王女です」
 ・・・・・・・・・・
 ごめんなさい、ちょっとよくわからなかったのですが。
 というか、耳が拒否しました。
「今、なんと?」聞き返すのも怖かったけど、一応確認。
 女性はやっぱり硬い口調で
「あなたはこの国、ローマリウス国の王女です」
 
 ええええええ~~~~~!?!?!?

 ちょっと、ちょっと待って。なにそれ。
「王女って、アレですよね?なんか、国王の娘、的な?」
 ベッドの横に姿勢正しく立っていた女性は顔をしかめて「そんなこともお分かりにならないんですか?」
 いや、いや、お分かりになりますよ。王女って言葉のイミくらい。
 だけど。だけどね。
 私ってショッピングサイトの商品レビューでいえば星が2つ3つくらいの平凡なOLですよ?なんの特殊機能もないのです。
 それがいきなり、一国の王女ですって言われても。
 とても信じられないというか。信じたくないというか。
「冗談、ですよね?」
 一縷の望みを託して、一応は尋ねてみる。
「レーナ・デ・ローマリウス様。あなたはこの国の王、ウラウス・デ・ローマリウス様の第一子。この国の王位継承者です」
 女性は刃物のような声音で、私の望みにとどめの一撃を刺してくれた。


 お嬢様は気楽な稼業ときたもんだ~~~♪で、のりきれると思ってた私の肩に100tの重圧がかかった。
 いや、100tどころじゃないよ?国レベルの重さだよ?
 なにこの無理設定。
 周囲の人間から得た情報によると、私は花も恥じらう17歳で、絵から抜け出たような美少女で、国王のたった一人の娘。
 17歳はいいよ、美少女はすごくいい、でも王女は余分、重すぎる。
 とはいえ、現実から逃げていても、まったく事態が変わるわけではないし。
 今、私がしなきゃいけないことは、頭から布団をかぶってベッドに埋もれていることじゃない。
 とにかく考えよう。この異世界、国の情報を集めないと。
 世界はどうなってるの?いるのは人類だけ?異世界にはよくある魔力とかも存在する?禁忌(タブー)はなに?やったらイケナイことは?
 ノートがあれば箇条書きしたいくらい次々に疑問が湧いてくる。
 私が『王女』ってことは、王政ってことだよね。日本みたいに行政機関は別にあって、皇族は国の象徴とかいうのじゃないよね?
 あ。
 私は大切なことに気づいた。
 王政なら、王様、つまり父親、それと母親。まだ1度も会っていない。
 大切な一人娘が昏睡状態から覚めたのに、普通なら親が真っ先に顔を見せるべきではないの?
「お父さん・・・お母さんは」思わず口に出てしまった。
「は?」ベッドの横の椅子に腰をかけ、本を読んでいたサラさんが怪訝そうな険しい表情で私を見た。「今、なんとおっしゃいました?」
 私は慌てて言い直した。「お父さまとお母さまは、どうなさってるの?」
 言いなれない言葉使いに舌をかみそう。これからもずっと高貴系でいかなきゃならないのはけっこう大変だ。
 などと思っていたら、サラさんが深い溜息をついて、「大切なことをお忘れになっているんですね」
 忘れているというか、知らないというか・・・すいません。なんか申し訳ない気分になる。
 サラさんは静かに本を閉じて、私に向き合った。
 「レーナ様のお母上、女王陛下は2年前おかくれあそばしました」
 おかくれ・・・って、死んだってこと?
「流行り病でした」
 そうか、そうなんだ。でも会ったこともない人なので、悲しいという感情はわいてこない。
 私の両親は九州の片田舎でピンピンしてるし。娘が異世界なんかにいるっていうことだって知るわけもないし。
 って、そういえば現代にいる私はどうなってるの?
 もしかして入れ替わって、こっちのレーナ姫が私の体の中にいるのかもしれない。だとしたらきっとパニクってるんだろうな。私みたいに小説や漫画で異世界になじみがあるってわけじゃないし。
 奇妙な言動をとって精神状態疑われて・・・ああ、どうしよう、もし自分の体に戻れたとして、戻った場所が精神科病棟とかだったら。
私は瞬時にそこまで想像を巡らせると絶望に肩をおとした。
 私の落胆をサラさんは母の死を知った娘の悲哀に感じたのか、彼女の硬質の声音が少しだけ柔らかくなった。
「とても慈愛に満ちた女王陛下でした。国王陛下を支え、この国の民に尽くし、国民からも慕われておりました。国王陛下もそれは深く女王陛下を愛し・・・」滑らかだったサラさんの口調がそこでためらうように澱む。
「愛し・・・すぎました」
「?」
 言葉を選んでいるようにしばらく黙っていたサラさんが、意を決したように口を開いた。
「国王陛下は」

 その時、彼女の言葉を断ち切るように部屋の扉が乱暴に開いた。



 「いけません、キリウス様。どうかお戻りを」悲鳴に近い声をあげる召使いの静止を無視して、部屋に押し入ってきたのは黒いロン毛に顔の半分が黒いヒゲに覆われた長身の男だった。
 熊男!?・・・いや、違う、たぶん人間。よく見たら頭髪とヒゲ以外に毛は生えてない。
「キリウス様。ここは王女の私室です。許可なく入室は許されません」サラさんは泣き顔の召使いにあごで退室するように命じると、冷たい目で熊のような男と向き合った。
「下がれ。俺は姫に会いに来た」
 口調からすると、サラさんに命令できる立場の人みたい。
「なりません。レーナ様にお会いしたくば、まず謁見のお申し込みをなさってください」
 熊と対峙してもたじろがないサラさんは、まるで静かなる殺戮者猫科の肉食獣みたいだ。
 互いに引くつもりはないかのように睨み合うサラさんと男の間に、肉食獣同士が牽制しあうようなオーラを感じて、小動物の私は首をすくめた。
「お戻りくださいませ」サラさんの刃物のような尖った声の一撃。
「俺にはわびに来る権利がある」男が言い放つ。サラさんの声など気にも留めていないみたい。
「レーナ姫を馬に乗せて落馬させたのは俺だからな」
 お、お前が元凶か!ツッコミは心の中で。
「ですから、キリウス様には追って、沙汰が」サラさんはそこで詰まったように言葉を止めた。男は口の端をゆがめると
「沙汰?いったい誰が沙汰を出すというんだ?あの国王陛下か?」
「無礼ですよ!いくらキリウス様でも」目に怒りをにじませて抗議するサラさんの脇をするりと抜けると、男は私のベッドのほうにドカドカとやって来た。
 ひっ
「レーナ姫、不慮の事故とはいえ姫に深い傷を負わせたことは、このトマール・デ・キリウス、一生の不覚。姫が目覚めたとの知らせを受け、はせ参じた次第にございます。お目通りの許可もなく面前に立つご無礼をお許しください」
 なんだかまるでお芝居のセリフみたいな口上に私はどんな反応していいのか分からない。それに、誰、あなた。
 熊・・・じゃない、男はしばらく青い鋭い目で観察するように私を見ていたけど「姫の記憶がないというのは本当のことのようですね。私のことも覚えていらっしゃらないようだ」
 はい、わかりません。
 近くで見ると、中世の騎士のような服はかなり仕立てのよい生地で、黒いマントには紋章のようなものが銀の糸で刺繍してある。私にでも男の身分の高さがわかった。でも野性すぎて、その高さがよく分からない。
 ふーーっと、男の黒いヒゲの間から大げさとも思える溜息がもれた。
「なんとおいたわしい。将来の夫となるべき男の顔もお忘れだとは」
 ・・・・・・・・
 はいぃぃぃ!?
 夫!?夫ってゆったよね!?夫って、あの・・・
 えぇ?なに、このヒゲづらのおっさんがレーナの!?
「お・・・夫?」「キリウス様!!」私の声にサラさんの怒気をはらんだ声が上書きされた。
「まだキリウス様が王女の婿と決まったわけではありません。めったなことは口になさらぬように」
「ふん」男は鼻でせせら笑う。「俺以外の誰が婿になるっていうんだ?家柄も地位も働きも、他の奴らより抜きん出ていると思うが?」
 あ。そうか、ここは異世界で、感覚としたら中世なんだ。王族ともなれば愛や恋で結婚するわけじゃない。政略結婚は当たり前。
 よかった~~野生の肉食獣みたいなのがレーナの趣味(好み)なのかと焦っちゃったよ・・・って、そういう問題じゃないわ!

 もしかしたら私、この熊と結婚しなきゃいけないの!?

 長話は姫のお体に障りますゆえ、と、男は来たときと同様、荒々しく扉を開けて出ていった。
 そっとサラさんを見ると無表情に怒りのオーラをまとっている。ここが日本なら「塩をまいときなさい」とでも言うのだろう。


 「サラさん、今のクマ・・・殿方はいったいどなた?」
 サラさんは私の毛布を整えながら「私のことはサラとお呼び捨てくださいませ」と言った。
「はい」従順なのが私の取り柄だ。
 よろしい、とサラさんは頷くと教科書を読むように説明を始めた。
 「今のお方は国王陛下の重臣となる4名の大臣の中の一人で、トマール・デ・キリウス公爵様でございます。先月、父君のカエサル・デ・キリウス公爵様が身罷われましたので、爵位と大臣位を継いだばかりでございます。キリウス様は大臣位にある貴族の中では、地位、身分、資産、武勲、どれをとっても申し分のないおかたです」
 それだけ聞けば立派な人物だと思う・・・けど。
「ただ・・・何事も武力で解決しようという傾向があり・・・少々思慮に欠けるというか、傍若無人・・・いえ、おおらか過ぎるところがおありになるというか・・・」
 サラさん、苦しい。どう表現をマイルドにしても要するに体育会系バカってことでしょ?
 そんな男と私は
「私は結婚しなければならないのですか?」
 琥珀色の瞳を潤ませて鈴の声を不安げに震わせてみた。全面的に『結婚なんか嫌よ』感を漂わせてみたのだけど。
「さようでございますね」一刀両断された。
 「けれど、必ずしもキリウス様と、というわけではございません」
「はい?」
「大臣は4名おりますゆえ、その中のどなたかをお選びになれます」
 婿候補の選択肢はあるってこと?でも、そもそも結婚はするのが大前提なの?
「この国の法律ですから」
 私の心を読んだようにサラさんが答えた。なんだか怖いよ、この人。
 「この国の法律を説明する前に、レーナ様には国王陛下にお会いしていただく必要があります」
 国王に・・・父親に会う?
「そのほうが納得していただけると存じますので」
 そうなの?
 しかし、いくら父親でも国王となると、寝間着にスリッパで部屋を訪ねるわけにはいかず。私もまだ、歩けるほどには回復していない。
 王との謁見は後日、ということになった。
 国王に会える。逸る気持ちを抑えながら私は眠りについた。

 
 昏睡から目覚めて7日目の朝だ。
 頭の包帯も取れ、脈も正常。もう普通の食事でもよかろうと、レイブラント医師の判断で出された朝食は目を見張るものだった。
 ふわふわのマシュマロみたいに柔らかい白いパン。野苺、ブドウ、柑橘系果物のジャムに仔牛肉のロースト、季節の野菜のサラダにと、ベッドテーブルでは収まりきれないほどの皿数だ。
 銀のスプーンで温かく湯気をたてるスープを口に運びながら、私は昨日まで朝昼晩と食べていたオートミールのような味のないドロドロとしたものを思い出す。アレがこの世界での普段の食事だったら、そのうちブチ切れた私が、「こんなもん喰えるかーっ」って日本の古代儀式『ちゃぶ台返し』をしていただろう。
 食べるものは実に人間の生きるモチベーションになるのだと、優しく体に染み入るスープの味を堪能しながら私は確信した。
 朝食を終えると、私の旺盛な食欲と顔色を見ていたサラさんが、体の回復を確信して国王に会うための着替えを召使いに命じた。
 単に着替えって言っても、これが大仕事だった。
 高貴なやんごとない姫様は一人では風呂に入ることすら許されず、どんなに固辞しても無駄で、私は3人の少女召使いに猫足の白いバスタブに沈められ、体の隅々まで洗われることになった。
 とんだ羞恥プレイだ。
 救いは私の、つまりレーナの体が人前に晒しても恥ずかしくないほど、見事なプロポーションだったってこと。水をはじくシミひとつない真っ白な肌に彫像のように均整のとれた体。
 この顔にこの体は反則やろ。
 
 私の貧相な顔と体に転移したであろうレーナ姫には、心からお悔やみ申し上げたい。

 お風呂でピカピカに磨き上げられた後は、召使いたちの手によって豪華に飾り立てられていく。
 袖口と胸元にふんだんにレースがあしらわれ、細部にまで刺繍がほどこされた空色のドレス。トルコマリンに似た宝石を散りばめたティアラ。どれも小島美里だったときには見たこともない贅沢品だった。
 服を着るだけで1時間以上はかかった。これから出勤なら完全に遅刻だ。
 私の出来栄えを最終チェックしたサラさんは「では、まいりましょう」と、先に立って優雅に歩き出す。

 いざ、国王陛下のもとへーーーー


 初めて部屋以外の場所を見た。城の廊下には所々に絵画や彫刻が飾ってあって、私がきょろきょろと見回すのをサラさんが咳払いで窘めた。
 窓から差し込むのは正午前の明るい陽射しのはずなのに、どことなく澱んだ空気の漂う廊下の雰囲気は重苦しい。サラさんの足運びは速い。病み上がりの私の息はすぐに上がってしまった。
 サラさん、もっとゆっくり歩いて、って声をかけようとしたところでサラさんが立ち止まって振り返る。
「この扉の向こう側に国王陛下はいらっしゃいます」
 ん?なんか、違和感。この扉の中、じゃなくて、向こう側?
 扉は豪華な装飾の、いかにも『王の部屋の扉』って感じだけど。
「レーナ様、これをお持ちください」サラさんが私に手渡したのは卵型の石。表面にびっしりと不思議な文様みたいな文字が書いてある。
「これは・・・?」
「これをお持ちいただければ魔力の影響を受けません」
 ・・・・・・・・・・・・
 今・・・魔力、って言ったよね!?普通に言ったよね!?ここ魔力がある世界なの!?
 私が質問の砲火を浴びせる前に、サラさんは王の間の扉を静かに開いて、入るようにと、促す視線を私に送る。
 しかたがない、質問は後だ。
 私は注意深く扉の中に足を進めた。
 
 ここは・・・

 私は呆けたように口を開けていた。
 ありえない。だって・・・ここは城の中のハズだ。
 私の目の前には牧歌的な景色が広がっている。地平線には遠くの山並みが霞のように見える。辺りは一面、彩りの花が咲き乱れた花畑で、そのすき間を縫うように、澄みきった小川が流れている。
 私は腰をおとし小川の水をすくってみた。
 手は濡れていない。・・・幻?・・・これは幻覚?
 「覚めぬ夢でございます」
 いつの間にか横にサラさんが立っていて、そう呟くように言った。
 夢?
 ふと、花畑に人影が見えた。目を凝らすと、上品な身なりの男女が時々楽しそうな笑い声を上げながら花畑の小道を歩いている。
 まるで絵に描いたような温かくて幸せな光景。でも、なんだか胸がつぶされそうに痛いのはなぜなんだろう。
 「夢なのですよ。ここは」サラさんはまぶしそうに顔をゆがめて言ったけど、たぶんそれは日差しのせいじゃない。
「国王陛下の夢なのです」サラさんの視線の先には小道を歩く男女がいる。あれが・・・
「お父さま?」
 サラさんは無言でうなずくと「お隣のかたが女王陛下・・・お母上ですよ」
 え・・・だって、女王は死んだって・・・2年前
「お亡くなりになりました」また私の心を読んだかのように答える。
 私は目を細めて、遠くに見える男女を見た。女性の顔、見事な金髪で、琥珀色の瞳、うっすらと赤い唇はレーナを少し大人にした感じだ。母親だと言われれば納得できる。
「国王陛下はそれは深く、深く女王陛下を愛されていたのです。それは・・・もう・・・正気を失うほどに」サラさんの口から洩れるのは言葉と言うより苦渋の呻きだった。
「女王陛下の死を受け入れられなかった国王陛下は魔法国、マグノリアから魔法使いを呼び寄せ、この部屋に魔法をかけたのです。幸せだった記憶の中で時を止めて生きる魔法を」
 やっぱり魔法があるんだ、この世界は。頭の片隅にそれをしまって、「では、お父さまは2年もここに?」
 サラさんが無言で頷いた。
 国王はずっとこの部屋・・・いや、空間で、亡くなった女王の幻と暮らしているというのか。辛い現実から逃げて、幸せな幻の中で暮らしているというのか。
 こんなにも、美しい場所なのに、心がきしむように痛いのは、ここが悲しみと絶望の礎(いしずえ)でできた世界だからなのか。
 幻は幻でしかないのに。本当の幸せではないのに。
「愛する人を失った悲しみや喪失感は・・・耐えられないくらいに辛いものだって・・・わかる。私にだってわかる・・・わかるけど」私はぼんやりと口にした。
「でも、時間がたてば、いつかは悲しみは癒え、愛しい人も思い出に変わるんだわ。人はそれまで耐えなければならないの。時を止めてしまったら悲しみは悲しいまま。何も変わらない」
「レーナ様」サラさんが不思議なモノを見るような目で私を見ているのに気づく。私は慌てて口を押える。もしかして、私、なんか変なこと言った?
「お強いんですね、レーナ様は」フとサラさんが笑ったような気がした。あまりにも一瞬で、見間違いかもしれないけど。
 サラさんに手を取られて、私は夢幻の花畑を後にした。
 ここは、まるで城の中にある、国王と王妃の墓所のようだ。もう2度と私が訪れることはないだろう。


 部屋で午後のお茶を飲みながら、私は保留していた質問をサラさんに投げかけた。この世界には魔法があるのか?と。
「魔法はあります。ですが、それは『魔法使い』と呼ばれる特殊なチカラを持つ者だけで、その数はわずかです。彼らは普通の人間と交わることはしません。魔法使いだけの国、マグノリアから出ることはないのです」そこで、「普段は」とサラさんは言い添えた。
「王侯貴族より魔法の依頼があった場合はその国に赴き、魔術を施します」
「それ以外に魔法の国を出ることはないの・・・ですか?」私はおやつのアップルパイに似たケーキをフォークで切り分けながら尋ねた。
「ございません。国を出ることも、国の外で依頼以外の魔法を使うことも禁じられております。すべてはこの世界の理(ことわり)を乱さないためです」
 そう。だよね、魔法だったら何でもアリだもんね。例えば死んだ人を生き返らせることだって・・・って!そうだよ!!
「お父さまはなぜお母さまを魔法で生き返らせなかったの!?自分に魔法をかけるより、お母さまを生き返らせたらよかったでしょ?」王の判断に不満げな声を上げた私に「禁じられております」とサラさんが水を浴びせるように言う。
「魔法国の法律で『人を殺める危険のある魔法』と『人を蘇生させる魔法』は禁じられております」
 人を殺める・・・のが禁止なのはわかる。戦争とかに使われたらインチキだもん。でも生き返らせるのもダメって・・・
「死んだ人間に生を与えるのは理を侵します。それに魔法術で生き返った人間は・・・魂がありません。動く屍です。毎日腐りゆく屍と暮らせますか?」
 あっ。・・・・私の頭にグロいホラー映画が映し出された。街を練り歩く生きてる死体・・・うわ・・・やだ。
「体がまだ生きている状態で魂が離れているだけなら、戻せる術があるというのですが・・・女王陛下の体はすでに・・・」サラさんが首を振って目を伏せる。
 すでに、手遅れだった。だから、国王は女王の幻と生きる選択しかなかったのか。夢の中でなら女王は生きているのだから。なんだか、やるせない。
 でも、この世界に魔法があるなら。
 私の頭に希望の光が差し込んだ。

 私を元の世界に戻す魔法だってあるんじゃない?

 「えと・・・例えば、私が魔法使いに魔法をお願いすることもできるのかしら?」サラさんに尋ねてみる。
「可能です。レーナ様は一国の王女ですから」
 やった!
「ですが」とサラさんは続けた「魔法使いに魔法を依頼するのには多額の報酬が必要です」
 は?あ、代金ね。どれくらい
「国王陛下は私財のすべてを魔法国に差し出されてしまいました」サラさんが奈落の底から湧き出たような暗い溜息をつく。これはたぶん『あ~なんてもったいないことを』という女性特有の溜息だ。
 私財のすべて。国王の私財なんて見当もつかないけど、サラさんの溜息から察すると、かなり法外な値段なのは間違いない。
「隣国のヨークトリア国では妖物を退治するために国家予算の5分の1を使って魔法使いを雇ったそうです」
 国家予算って言葉が出るほどの報酬ですか、そうですか。そりゃ、魔法のスペシャリストですもんね。特殊な資格を持った人のお給料は高いですもんね。あら、そういえばサラさん、さらりと『妖物』って言いましたよね。なるほど、この世界には妖しい感じのもいるんですね。・・・って。
 いやいやいやいや、なんか無理だから!王女だけでも大変なのに、これ以上ややこしいのは勘弁して!! 
 私のキャパが悲鳴を上げて逃走しそうになった。
 落ち着け自分。深呼吸だ。
 とにかく、例え自分に戻れる魔法があったとしても、私には多額の報酬を払うアテがないことだけは確かだ。

 「それで、昨日の続きなのですが」サラさんが話題を変えるように顔を上げて切り出した。
 えっと・・・昨日の続き・・・続き・・・色んなことがありすぎて、どの続きなのかが
「我が国の法律のことです」
 そうだった。たしか、国王に会った後に説明するって言ってたっけ。

 「我がローマリウスは国王陛下と陛下の重臣である4人の大臣で統治されております」
 
 ここで、サラさんの説明をまとめると。
 国王と4人の大臣が年に数回、城の『会議の間』で国の内外のことを話し合う。例えば、どの道路を造るか、とか、どんな建物を造るか、とか。他の国との付き合い方、法律を作ったり変えたり。話し合った結果、どうするかは国王が決める。
 で、今は決定権を持つ国王が不在なので、大臣だけで話し合いして決めている。
 法律では国王の不在は2年を限度として、2年内に王位継承者(つまり私)が国王代理として立ち、18歳になったら戴冠して正式に女王となる。もしくは大臣の中の一人が王女と結婚して国王になる。
 二者択一ってこと。
 う~~~~ん
 国のことどころか世界のこともよく分からない私が国王代理なんて、無理だよね。自慢じゃないけど、今までリーダーシップを発揮したことなんかないし。
 ここは結婚という選択しかないのか・・・
 ふっ、と熊男・・・もといキリウスの顔が頭によぎった。
 無い無い。あれと結婚なんて無い。
 となると、他の3人の大臣から、ってことになるんだけど。
 残りの大臣ってどんな人たちなんだろう。とにかく会ってみないことにはどうにもならない。
「3人、いえ、4人の大臣たちとお会いできるかしら」サラさんに問うてみる。
「近日中に王女の快気祝いの舞踏会を催す予定でございます。その席で大臣たちが王女にダンスを申し込まれる手はずになっております」
 さすが。サラさん、社長の考えを先読みできる有能な秘書だわ。
 私はカップに残った冷めた紅茶を飲み干すと、「サラさ・・・いえ、サラ。私、この国の情勢や政治のことが知りたいの。なにか書物があるといいんだけど」
 王女が国のことをまるで知らないっていうのもあり得ないしね。
 と、サラさんを見たらまるで森のなかで人魚にでも出会ったかのような顔をしてる。え?私、また何か変なことを言った?
 私の凝視にハッと我にかえったサラさんは
「申し訳ありません。私としたことが取り乱してしまいました」
 取り乱してた顔だったんだ、アレ。
「レーナ様はお花作りとお菓子とダンスにしか興味のないかただと思っておりましたので」
 どんな人間やねん、私。
「社会学も歴史学もサボってばかりだと、家庭教師の先生がたが嘆いておりました。」
 ・・・・・・天は二物を与えずってことか。はっきり言ったら、私はバカ姫ってことね。
 確かに私がお花を編んだり、歌や踊りに興じる様は絵になるだろう。でも、今はキャッキャうふふ、なんてやってる場合ではない。
「この国に関する資料を持ってきてください」
 かしこまりました。と、うやうやしく姿勢正しい礼をするとサラさんは部屋を出ていった。




まだまだ続くよ。
公開は、たぶん別サイトになると思う。

ぐうぐう・・・

お昼寝

みんなでお昼寝。一匹カメラ目線。

ドンと猫!

ねこず1

ねこず2

ねこず3

ねこず4

ねこず5

ねこず6

今回は猫しか(1部犬)ないです。

こんな感じですくすくと成長しているだんごねこ3兄弟です^^

1週間って早い。

時間泥棒がいる。
「え?いつの間にこんなに時間が過ぎたの?」

前のブログ更新からもう6日たったり(;´Д`)

burogu座る

こうやって、人生は過ぎていく。

なすべきことを置き去りにして。

とか。

昔描いたらくがきに色をつけてみた。

季節感ないな~紅葉にすればよかった。

プロフィール

月屋京子

Author:月屋京子
限界集落で暮らすシングルマザーで、もとレディコミ漫画家です。趣味のイラストや漫画制作のおしゃべり、日常ネタなど。
イラスト投稿サイト「pixiv」では漫画やイラストなど。小説投稿サイト「アルファポリス」では小説掲載もやってます。

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